経営×現場×Sier 三位一体で目指す 業界のDXトップランナー
光和精鉱株式会社 様
| 設立 | 1961年2月 |
|---|---|
| 所在地 | 福岡県北九州市戸畑区大字中原字先ノ浜46番93 |
| 会社概要 |
製鉄用のペレット等の製造と共に、廃棄物処理も行なうユニークな企業。 製錬技術や化学技術、さまざまな設備で廃棄物を処理。さらに「徹底リサイクル・資源再利用」によって、効率的な資源循環を行う。 特に塩素や重金属を含む廃棄物については「塩化揮発法」など、国内トップクラスの処理能力を有する。 |
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「光和DX」 新たな技術でCS向上と操業最適化を目指す仕組みを構築
■刷新前の課題
l 受入可否判断に不可欠な在庫置き場情報の可視化
l 徹底した自動化・省力化、システム間連携の強化
l 20年前に構築した基幹システムのアーキテクチャ刷新
■刷新後の効果
l KOWAねっと(Web見積予約サービス)で受入可否状況を公開
l QRコードによる搬入受付手続きの省力化
l システムのシームレスな連携で月間60時間の業務効率化
l 基盤のクラウド化やモバイル対応により、利用環境の制約なくデータ活用の場が広がる
<刷新の経緯> 基幹システムを20年使い続けるうちに業務が硬直化
光和精鉱のデジタル活用は2000年代に始まった。「循環型社会形成推進基本法」(2001年)が施行され、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄から大きな転換点となった時期である。当時は手書き日報、3交代の勤務管理や決算などの業務はすべてアナログであり、デジタル化が急務であった。情報システム部門を持たない光和精鉱がデジタル化を進めるためには、将来にわたって継続的なサポートを受けられる、地場に根付いたパートナーが必要である。伝手を頼ってSIerを探したところ、他のユーザー企業から紹介を受けたのがソルネットであった。
そしてこの時光和精鉱の基幹システムとして構築したのが「営業情報システム」と「産廃管理システム」だ。引合情報から見積、請求を行う「営業情報システム」と、廃棄物の受入、出荷等在庫管理を行う「産廃管理システム」の二つを連携して管理するもので、計画的な安定操業のために非常に重要な役割を担う。このような基幹システムを独自に構築した企業は、当時の業界では珍しかった。
こうして完成した先進的な「産廃管理システム」は、小改善や機能追加を加えながら光和精鉱の業務を支え続けた。しかし10年、20年と経つうちに、テクノロジーは陳腐化し、度重なる部分改修で使い勝手や保守性は低下。現場では次第に業務が硬直化していった。
ちょうどその頃、クラウドなどの新たなテクノロジーが登場し、同業他社ではデジタル活用が加速化しはじめていた。
2020年、光和精鉱は「光和DX」の実現に向けて再び動き出した。「光和DX」とは、自身の強みをデジタルでさらに進化・変革させながら、さまざまな企業と連携することで、より高度な統合サービスを提供し、『サーキュラーエコノミー実現』を目指すものである。
統合システム基盤の構想策定を開始し、2030年に向けた「光和DX」ロードマップをソルネットと共に計画した。新たな飛躍の土台となる「産廃管理システム」の基盤刷新を最も優先度の高いテーマとし、プロジェクトをスタートした。
<刷新のプロセス> Oneチームで「業務とシステムの最適化」にチャレンジ
光和精鉱は経営と現場の距離が近く、風通しのよい企業風土である。また、プロジェクトにおいても同じ熱量をもって取り組める強いチームワークがある。「他でやっていないことにチャレンジしよう」という加納社長の後押しで、社員も積極的にアイデアを出し、新機能を盛り込んだ。Web予約やチャットの採用、飛行機の搭乗手続きを参考にしたQRコードの活用など、それまで硬直化していた業務が新たな技術で進化し始めた。
開発にあたっては、JBCCグループ独自のアジャイル開発手法『JBアジャイル』とローコード開発ツール『GeneXus』を活用した超高速開発を採用した。光和精鉱の業務をよく知るソルネットメンバーも一体となったこのプロジェクトに、アジャイル開発はとてもよくフィットした。要件定義では、「業務に即しているか、使いこなせているか」という観点で現行のシステム機能を棚卸。一部業務では運用ルールの見直しも含めた検討の結果、システム機能の29%スリム化を実現した。業務要件の深掘りを行うプロトタイプフェーズでは、ローコード開発ツールの強みを活かし、実際のデータを使用した画面操作で、「QRは連続で読み取らないと手間がかかる」「アラートはこのタイミングで」など、具体的な気づきや認識の齟齬を発見し、早期に修正することができた。
<刷新の効果> お客様利便性向上とデータ活用のための基盤づくりを実現
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業務部 物流管理課長 吉松 純一郎様 |
物流管理課長の吉松氏は、「在庫置き場のリアルタイム可視化」が実現したことにもっとも大きな価値があるという。 それまでは業務に精通した社員が状況を把握して受入可否を判断していたが、今回の刷新によってリアルタイムに在庫・置き場状況がわかるようになった。顧客向けWeb見積予約サービス「KOWAねっと」にも受入可否の状況が「○△×」で表示できるようになり、ホテルのWeb予約のようなユーザビリティに近づき、利便性が向上した。 トラック搬入時の「引取依頼書」も、予約時に出力される「引取依頼書」にQRコードを表示、搬入時はQRコード読み取りとタッチパネルで受付業務が完了するように改善したことで受付の無人化を実現した。また、受付情報はそのままデータ化されるため、これまでデータ入力に要していた月間60時間の削減と、受付後のトラック滞留状況把握の効果をもたらした。QR利用者は徐々に増えてきており、今後のさらなる効果を期待している。 |
<今後の展望>
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「顧客満足度向上と操業最適化の仕組みを新しい技術でつくり上げることが光和DXの目指すところ。まだ全体の3割だが将来のための基盤づくりができた。」と光和精鉱の総務部長有働氏は語る。「今後は全社統合データベースを構築し、AIも活用しながら操業の最適化や予防保全などさまざまなことに挑戦していきたい。」「システム刷新は10年、20年に一度の貴重な機会。今回のアジャイル開発では若手社員も参加して、仕様を考えるだけでなく、その背景となるルールを調べるなど、成長の場となった。」物流管理課長の吉松氏は社員参加の価値を評価した。「やりたいことを言える、チャレンジできるということが社員に伝わった。」 光和精鉱は、業界トップランナーを目指してチャレンジし続ける。 |
取締役 総務部長 兼 業務変革推進室長 有働 康之様 |
SOLNET技術者のコメント
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執行役員 ビジネスデザイン統括 超高速開発事業部 事業部長 福永 将士 |
長年ご愛顧いただいた基幹システムの刷新に際し、JBアジャイルの価値をご理解いただき、共創の機会を賜りましたことに深く感謝申し上げます。短期間で繰り返し改善を重ね、スムーズな本番稼働を実現できたことは、 JBアジャイルの強みを最大限に活かした象徴的な成果であり、何よりもお客様の積極的なご協力のもと一緒に作り上げてきたことをメンバー一同、嬉しく思っています。 今後も貴社DXロードマップに沿って伴走し、事業価値を創出するシステムを共に築いてまいります。 |



