設立 | 1949年11月(昭和24年11月) |
所在地 | 山口県宇部市西平原4丁目4番1号 |
事業内容 | 青果卸売業者 |
URL | http://www.ube-daido.co.jp/ |
1949年設立の宇部大同青果株式会社様(以下、宇部大同青果)は、「消費者の皆さんに毎日新鮮でおいしい野菜や果物を安心して食べていただく」ことを社会的使命として、青果の卸売を行う企業である。宇部市中央卸売市場(青果市場)における卸売業者として、日本全国をはじめ世界各地の農業生産者(出荷者)が作った野菜や果物を、迅速かつ効率よく集荷(仕入れ)し、仲卸業者・売買参加者に安定的に分荷(販売)する流通の重要なパイプ役を担っている。
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そんな宇部大同青果の事業を支える販売管理システムは、システム開発を担当したソルネットが保守・改善を行いながら、導入から20年経過してもほぼ当初のままのシステム構成で安定稼働を続けていた。しかし、総務グループ グループリーダーの山本健一郎氏は、「次回サーバー更新のタイミングでの再構築は避けられない」と考えるようになった。理由は以下の3点である。
1.現行システム維持のリスク
システムで使用しているIBM iは、高機能で非常に安定したサーバーであり、20年使い続けることができた。しかし、この20年の間にサーバーは高性能化によって価格高騰し、宇部大同青果にとって効果を上回る運用コストになっていた。さらに、今後大量退職が見込まれるレガシー言語技術者は、次第に要員確保が難しくなるため、経営リスクとなりうる。「システム維持のためにプログラム言語を変更せざるを得ない。」と山本氏は考えた。
2.過勤務時間の低減
例えば、当日の販売データを出荷者へ報告する業務では、システムからFAXを自動送信していた。しかし、大量のデータをFAXカードで送信しており、データ変換処理の遅さが原因で、送信完了になるまでにかなり時間がかかっていた。担当者は送信を確認するまでは帰れない。
市場の卸売業は仕入れが早朝に始まるため、担当者は午前2~3時から出社した上での残業である。山本氏は「ただでさえ早朝からの仕事は大変なので、社員が定時で帰れるようにしたかった。」と語る。
3.拡張性、将来性
すでに、業務で欠かせないラインプリンターやFAXカードなどの周辺機器は生産停止で後継機もない状態であった。それに代わる同様の機能はクラウドサービスでもさまざま提供されているが、現行サーバーでは連携が難しい。その他にも、近い将来サプライチェーンのデジタル化への対応が求められることを考えると、このタイミングで自由度の高い柔軟なシステム構成にしておく必要があった。
当時の宇部大同青果では、まさに2025年の崖で指摘された「レガシーシステムの課題」が山積している状況であった。
「変革タイミングは今しかない。今後20年使える新システムを作ろう」と考えた山本氏とソルネットがタッグを組み、2021年に再構築プロジェクトを立ち上げた。
現行システムは販売管理のパッケージソフトをベースに、宇部大同青果のニーズに合わせてソルネットがカスタマイズを行ってきたもので、現在の業務にジャストフィットしていたため、現行システムを踏襲して再構築することとした。
再構築のポイントは以下の4点である。
1.システム機能の徹底的な棚卸
現行システムは241もの機能を持っていた。これらをそのまま再構築すると、コストも期間も膨大なものになる。そこで20年間のサポートを通じて業務を知り尽くしたソルネットのSEが、宇部大同青果と綿密なコミュニケーションをとり、現在のサービスレベル維持に必要な機能を見極め、開発範囲を決定した。
2.Javaによるシステム開発
Javaは業務システム開発では現在主流の開発言語であり、当面技術者不足になる心配がない。また開発ツールには、JavaでWebシステムの開発を行うことができるノーコード開発ツール『GeneXus』を採用した。
3.クラウド活用
システムの稼働環境をオンプレミスからクラウドに移行することでサーバー運用負荷を減らし、更にクラウドサービスを活用することで開発範囲を最小化して開発期間を短縮することで効果をいち早く享受できるようにした。
クラウドサービスは、クラウド連携プラットフォーム「Qanat Universe」(JBアドバンストテクノロジー株式会社)を採用、販売管理システムと電子帳票配信サービスを連携させ、より高速なFAX自動送信を実現した。
4.JBアジャイルによる「見える」開発
前述のように、現行システムは20年前のパッケージソフトをベースとしているため、ドキュメントが揃っておらず、システムを利用している宇部大同青果の社員も詳細が不明なまま操作していることがあった。
JBアジャイルでは、開発を5回のイテレーション(反復 短期間の開発サイクル)で行うため、過去のドキュメントやITの専門知識がなくても、宇部大同青果のユーザーが新機能を操作しながら要求仕様を固められることがメリットである。
しかし、アジャイル開発のメリットはそれだけではなかった。従来のウォーターフォール開発よりも、宇部大同青果の担当者とSEでのコミュニケーションが密になり、相互理解が深まったことで業務とシステムのギャップを早い段階で発見、調整することができた。
「通常の開発だと、現場のメンバーは立ち上げ後に初めて見て使うことになる。JBアジャイルでの開発は、途中でシステムを試用して改善することができたので良かったと思う。入力にもすぐに慣れることができた。」と山本氏は語る。
開発期間中のこうした円滑なコミュニケーションがその後のテスト工程にもつながり、宇部大同青果の積極的なテスト工程参加によってスムーズな立ち上げを実現した。
●FAX送信業務での残業解消
「データ送信が劇的に速くなった。その結果、FAX前での待ち時間が無くなり、社員はおよそ1時間30分も早く帰宅できるようになった。」(代表取締役社長 大島三晴氏)
●サーバー運用業務からの解放
「インフラがクラウドになって、毎日行っていたバックアップの作業も不要になった。」(総務グループ 勝木 健司氏)
●ペーパーレスの推進
社内業務で発生する紙は全てBIツール「WebReport 2.0 Smart」でPDF化することで、ペーパーレスを実現することができた。
また、ペーパーレスの推進により、紙保管に必要なコストも削減できる。
今回、クラウド連携プラットフォーム「Qanat Universe」導入により様々なWebサービスと基幹システムを連携できるようになったことは、宇部大同青果のビジネス成長において重要な転換点となった。「今回は市場内で出荷者への売上報告や取引結果のやり取りの自動化をすることができたが、今後は卸業者との請求業務のやり取りをWeb上でできるようにするなど、取り組みをさらに広げていきたい。また、ITの活用を進めることで、若者や女性でも働きやすい環境をつくっていきたい。」(山本氏)、「有用なWebサービスを活用して、コスト削減や業務改善などに取り組んでいきたい。ソルネットには、他社成功事例などの知見を宇部大同青果に取り入れていけるよう協力してもらいたい。」(大島氏)と熱い思いを語る。
2025年の崖のその先の未来に向けて、宇部大同青果は挑戦し続ける。
今回のプロジェクトは、現行システムと同等のものをフルスクラッチで開発する方針でしたが、全機能を移植するとコストが膨大に膨れることから、お客様が本当に必要とするものに焦点を絞って開発する必要がありました。
そのため、今回は要件定義において、画面・帳票の必要性を1つ1つ精査し、必要と判断された機能も類似画面の統合などでさらに機能数を絞り込むなど、お客様にも全面的にご参加いただきながら新システムに必要な機能だけを厳選しました。
最終的にパッケージソフトでは実現できない価値をお届け出来たと感じております。
今回のプロジェクトは、終始ご支援くださった山本様・勝木様、そしてご多忙中にも関わらず新システムの検証にご協力いただいた宇部大同青果の皆様の存在が無くては決して成功することができなかったプロジェクトでした。
今回のプロジェクトを通じて、お客様と共に理想を目指し、実現できたことを大変嬉しく誇りに思います。
今回、JBアジャイル開発手法での超高速開発を行うことで、従来のウォーターフォールでの開発に比べ、開発期間が約40%(約5か月)短縮することができた。
JBアジャイルについて詳しくはこちら
https://www.solnet-dot.com/products/harmonize/hsdev/
※当ページに記載されたソルネット以外の商品名/社名は一般に各社の商標または登録商標、サービスマークです。